XL Axiata とSmartfrenの合併から投資チャンスを探る

XL Axiata と Smartfrenが合併を発表しました。

開示情報によれば、市場に流通しているSmartfren株 94株につきXL Axiata株 1株を割り当てる吸収合併スキームを予定しており、合併後はXLSmartへ名称変更するとのことです。


https://www.cnnindonesia.com/ekonomi/20241212173220-92-1176720/lepas-merger-94-lembar-saham-fren-dikonversi-jadi-1-lembar-xlsmart


さらに、株式交換が実施されたのちに、XL Axiata(マレーシア系)の主要株主はSmartfren(シナル・マスグループ)への一部持分譲渡を行い、最終的にはXL AxiataとSmartfrenの持分比率を一致させ、両グループが協力してXLSmartのビジネス成長を進めていく方針とのことです。

合併後に予想される3つのこと

①XLSmartは契約店の重複解消/オペレーターのリストラなどの事業再編の費用が嵩み一時的には業績が悪化

Smartfrenのこれまでの業績を振り返ると毎年▲800 Miliar ルピアの損失計上を続けています。一方で、XL Axiataは毎年1,500 Miliar ルピアの利益体質ですので両者が合併したとしても黒字が残る計算となります。

ただし、合併初年度の2025年度は契約店の重複解消、オペレーターや従業員のリストラ、機能が重複する子会社や通信施設の売却・清算が行われることが予想され場合によっては利益がほとんど残らない可能性があります。

管理人
管理人
マーケットがどこまで一時的な業績悪化を盛り込んでいるか不明ですので、一時的な株価の下落リスクとして想定する必要がありそうです



②通信サービス業の収益率は将来的に上昇/安定する

通信サービス業のプレイヤーがTelkomsel, Indosat, XLSmartの3社寡占となり、合併後のマーケットシェアはそれぞれざっくり1/3となります。

過度な値引競争による顧客獲得を行う必要は無くなり、各社の業績はここ5年程度は安定していくものと見られます。安定確保した利益の中から5G電波網の充実に向けて各社インフラ投資に力を入れていくと思われますので、ここから何らのインフラ設備も持たない新規参入者がマーケットに入ってくる心配もありません。

③収益性が類似するなら、最も株価上昇が期待できるのはバリュエーションが最も低い XLSmart

通信サービス業の各プレイヤーが仲良く利益を分けあうとすれば、収益性や成長性はマーケットと比例することになります。つまり将来的には株価水準はどこも同程度に並ぶ可能性があると考えました。

この場合に最もキャピタルゲインが大きいのは現在バリュエーションの低い株ですのでバリュエーションの低い株を探します。

証券コード 上場会社名

PER
(株価収益率)

PBR
(株価純資産倍率)

TLKM

Telkom Indonesia 

11.75倍

1.94倍

ISAT

Indosat

13.14倍

2.27倍

EXCL  XLSmart Telecom Sejahtera

93.80倍

0.90倍

  • EXCLについては合併前の2024年9月期決算をベースに筆者が独自計算(2025/1/20)

PERで考えると合併による合理化、収益性の向上が含まれていませんので割高に見えますが、PBR で株価水準を図るとXLSmartが最も安い銘柄と言えます。

管理人
管理人
収益性が将来的に安定して他銘柄と遜色ないレベルまで成長する という仮定が当たっていればですが…



ということで、最近はEXCL株 (または合併前のFREN株)を少しづつかき集めて長期保有することを狙ってみたいと思います。


コメント

  1. Shin より:

    バンドン在住で、インドネシア株投資をしております。
    EXCLのPER、PBRについて、独自計算ではそれぞれ93.8、0.9ということですが、mirae asset sekuritassya社による2024年9月末期ベースの計算(同社ではPBRをPBVと表記)では17.1、1.2となっており、小さくない乖離が見られます。
    特段、秘匿情報でないようであれば、計算根拠を教示いただけたらと存じます。

    • 管理人 より:

      計算式は相当複雑ですので、コメント欄で数字で細かに説明することは難しいですが以下が考慮ポイントです。

      ・PER:黒字のEXCL と赤字のFRENの合算後当期純利益ベースでの計算が必要 (単純に黒字のEXCL数値のみで計算するとPERは低く計算される)
      ・PBR:計算基礎となる純資産は、EXCL とFRENの合算値をベースに計算が必要。除数となる株式総数についても、合併時に株式が追加発行されるため株式総数は合併後の総株式数を利用

      マーケットの株価は合併後の合算数値を織り込んで動いている(ハズ)ですが、
      各証券会社の指標は、このあたりの合併の影響を考慮しておらず現状のEXCLの株式数、純資産で機械的に計算していると思われるので注意が必要ですね。

      • Shin より:

        合算ベースでPERは大幅に悪化するものの、PBRが改善している点を踏まえると、仰っている通り、収益性の懸念点をクリアできれば投資妙味のある銘柄ということですね。
        早速のお返事ありがとうございました。