あぶらやし銘柄はここ数年個人的に興味があったセクターです。
パーム油やパームオイルと呼ばれる製品は、アブラヤシから採れる植物油で、世界の植物油の消費量の約1/3がパーム油となっていますので、マーケットは相当大きいです。またパーム油の産出国トップはインドネシアが約60%、次いでマレーシアが約25%となっています。
あぶらやしの使用使途は幅広い
パーム油は30kg以上ある果肉からパーム油、さらに種からはパーム核油がしぼり取れます。 どちらも食用として例えばアイスやホイップクリーム、チョコレート用油脂などに約80%、石鹸や化粧品等に約20%利用されています。
さらに近年はパーム油を搾り取った後の搾りかす(ウッドペレット)をバイオマス燃料として利用するなど利用使途が広まっています。植物由来の燃料ということでカーボンニュートラルの名目でも注目が集まっています。
10%を超える高配当銘柄も
アブラヤシ銘柄は10%を超える高配当銘柄も珍しくないため、配当好きな日本人にとっては魅力的なセクターの1つです。
一方で、アブラヤシ農園についてはプランテーション栽培による環境汚染や児童労働の問題も議論されており、特に環境規制の厳しい欧米を中心にバッシングを受けています。
今後、市場が縮小したり世界経済が不況に陥った場合にはパーム油の市況が大幅に下落する可能性もあることに留意が必要です。
インドネシアの再生エネルギー銘柄5選
1. SINAR MAS AGRO RESOURCES AND TECHNOLOGY (SMAR)
食用油としてFILMAブランドを展開するシナルマス財閥の中核子会社です。スマトラ島とカリマンタン島のプランテーションを保有しています。
国内売りが60%、輸出割合は40%程度
配当性向については業績推移を鑑みて都度決定するとされていますが概ね30%としているようです。
2024/5/5時点でPBR 0.6倍、PER15倍前後
このところのパーム油価格の下落により株価は低迷している印象です。
もう少し落ちても不思議ではありませんが、一方でテクニカル的にはチャートの底を打って反転そうにも見えます。
2. ASTRA AGRO LESTARI (AALI)
アストラグループの農業セグメントの中核企業です。
スラウェシ、カリマンタン、スマトラ島にそれぞれプランテーションを所有しています。国内売り/輸出売りの構成は非公開の様ですが、現地新聞によれば70% / 30%程度であるとみられています。ルピア安は輸出有利となりますが現地報道によれば長期的な視点から国内売り/輸出売りの構成は大幅には変更しない方針のようです。
配当についての会社方針は決まっていませんが、過去の配当実績を確認すると利益の凡そ45%程度の配当を期待できそうです。高配当狙いの投資家には魅力的な銘柄と言えます。
2024/5/5時点でPBR 0.56倍、PER11.7倍
割安の印象はありますが、一方で約15年に渡って株価は下落傾向にあります。流石にそろそろ底値のような気もしますが、一方で上値抵抗線がRp12,000あたりにありそうです。短期的な反発は狙えるとしても現時点では中長期的に保有しずらチャートです。
3. SALIM IVOMAS PRATAMA (SIMP)
サリム財閥の子会社です。
サリム財閥内の中核企業Indofood向け食用油やマーガリンの売上が20%程度を、また一般家庭用の食用油やマーガリン製品の展開も有名で、国内売りが80%程度と高いのが特徴です。
配当についての会社の方針は確認できませんでしたが、過去の傾向としては20%~30%程度で考えてよいと思います。
2024/5/5時点でPBR 0.32倍、PER6.4倍とかなり割安です。
ただチャートはイマイチ冴えないように見えます。
Rp 200まで更なる下落もあり得ますし、上値はRp 500~Rp 700で相当利確の売りが残っていそうにも見えますので簡単には上昇しそうにありません。
4. TUNAS BARU LAMPUNG(TBLA)
ローズブランドという砂糖製品でも知られるSungai Budiグループの子会社です。スマトラ南部のランプン、パレンバンを中心にビジネス展開をしています。輸出売りは全体の20%弱となっています。
会社の方針として配当性向は利益の30%~40%と公表されています。
2023年度は業績が良くなかったため配当利回りは6%程度かと思いますが、業績によっては10%近い配当利回りも狙えるため高配当好きの投資家にとっては朗報です。
2024/5/5時点でPBR 0.45倍、PER5.7倍 かなり割安な印象です。
どの銘柄を買うかより、買うタイミングが重要!
いくつかの株価を見てみると分かりますが、このセクターは概ね同じような株価推移をたどっています。
・2016年頃をピークに株価の下落開始
・コロナの影響を受けた2020年に底を打つ
・2021年に小幅反発したものの、2024年に向けては若干の下落傾向
あぶらやしビジネスは市場相場に大きな影響を受けるため各社の戦略/経営陣の手腕があまり利益に直結しづらく、それゆえ1社だけが大きく株価を伸ばすということは考えにくいビジネスです。そのため、正直どの銘柄に投資しても同じくらいのリターンが狙えそうに思います。
ただ、自然災害などにより1銘柄だけが急落するリスクを含みますので、上記銘柄を少しづつ購入しておくという戦略がよさそうです。