【脱炭素社会】インドネシアの再生可能エネルギー銘柄まとめ

再生可能エネルギーの需要動向

インドネシアの電力需要は、人口増加や経済の発展に伴い毎年少しづつ増加しています。

エネルギー省の予測によれば今後15年間はエネルギー需要が毎年約6%増加し続けると発表しています。

短期的にはコロナ禍の影響を受けたとしても、インドネシアの電力需要が右肩上がりであることは間違いなさそうです。

2020年度時点の発電エネルギー構成を見てみると、火力発電が全体の60%以上を占めています。
インドネシアで採掘される安価な石炭を利用した火力発電は、今後もエネルギーの中心になることに変わりはないと思います。

石炭銘柄についてはこちら
【石炭産業】インドネシアの石炭銘柄をざっくり解説!

一方で、インドネシア政府は大気汚染や世界的な再生可能エネルギーへのシフトのため

将来的には火力発電への依存度を抑えていく方針を表明しています。

実際にインドネシア政府国内の大規模火力発電企業を対象に排出権取引マーケットの準備が進んでいます。

管理人
管理人
火力発電事業者は、火力発電量に見合った排出権を水力発電事業者等から購入、または再生可能エネルギー発電へ参入して相殺するかを迫られるとのこと


再生可能エネルギーは不確実性の高い分野ではありますが、投資妙味は十分ありそうな気がします。

インドネシアの再生エネルギー銘柄5選

1. PT Terregra Asia Energy (TGRA)

電力トレーディング事業に加え、水力発電と太陽光発電を中心とした発電ビジネスを行っているようです。

管理人
管理人
メインの市場はインドネシアとオーストラリアのようです。


現時点で水力発電所は建設中が多く、太陽光発電所は2020年に一部完成したようですが、まだまだ発電規模は大きくないようです。

ここ数年はおそらく赤字を掘る苦しい業績が続きそうです。業績の安定と株価上昇までには相当の期間が必要と予想します。

管理人
管理人
財務諸表読みましたが、誤字脱字、足し算誤りなどが散見され、経理体制にも疑問を持っています….。

今後の収益柱となる水力発電所が運営開始されていない以上、正直評価の難しい銘柄です。

株価チャートを見てみると、期待先行で上昇を続けていた同社の株価は2019年度の決算が大赤字予想となったことをきっかけに 1/10程度まで暴落、その後2022年からは市場最低売買価格 1株50ルピア以下も下回ってしまい出来高無しの状況が続いています。

残念ながら業績が安定するまでは投資不適格の銘柄です。

2. PT Sky Energy Indonesia (JSKY)

2008年創業の比較的若い会社ですが、インドネシアでの太陽光発電に特化しているのが強みのようです。現在はB2Bがメインですが、2020年度以降はB2C向けの太陽光発電事業も展開していくようです。

管理人
管理人
テーマ株としては非常に面白い!ただ、業績が安定していないのが気になります…


こちらは2022年に債務不履行で伊藤忠への代金支払い不履行を理由にPKPU(倒産申請)を申請されているようで、実質的に業務停止に追い込まれたようです。

管理人
管理人
コロナで資金繰りが相当悪化したようです。

https://industri.kontan.co.id/news/terjerat-pkpu-sky-energy-jsky-berharap-damai
財務諸表の提出も遅延していることから、株式市場でも売買停止処分を受けています。

残念ながらここも投資候補とはなりません。

3. PT Megapower Makmur (MPOW)

マレーシア建設大手のビナプリ・ホールディングスのインドネシア子会社です。インドネシアではリアウ諸島やバンカ島などでディーゼル発電と水力発電のビジネスを展開しています。

収益性は水力発電は安定していますが、ディーゼル発電のセグメントは大赤字。
2022年第4四半期は、決算時に多額の赤字をねじ込んでくるなど会計処理の面も不安があります。

株価チャートを見ても、なかなか反発の兆しが見えません。
割安株ではありますが、今すぐに買うべき銘柄ではないでしょう。

4. PT Kencana Energi Lestari (KEEN)

水力発電事業を国内3か所で運営しているようです。スマトラ州の案件では中部電力と共同事業の形態であり、PLNとの30年売電契約も締結されています。

今後も安定的に収益を獲得できる投資先ではありますが、今後はどれだけ新規の水力発電所を建設できるかが株価上昇のカギとなりそうです。

報道によれば、次の水力発電プロジェクト資金をMandiri銀行から融資されているようで今後も業容拡大が見込めそうです。

毎年、増収増益で業績が推移していて中長期投資銘柄としてはとても評価できます。

株価チャートを見ると既にここ数年の最高値水準まで上昇しています。短期的には少し出遅れた感はあるもののPBR 1.3倍、PER 13.1倍は株価指標としては平均的でまだまだ上値余地はありそうです。

5. PT Pertamina Geothermal Energy (PGEO)

2022年2月に上場したばかりの国営プルタミナの子会社です。地熱発電を中心に自社運営だけでなくジョイントオペレーションとしてもプロジェクトを増やしています。

管理人
管理人
日本よりも活火山が多いインドネシア、地熱発電の潜在的ポテンシャルは凄いはずです。


さすが国営企業だけあってビジネス規模はその他の投資案件と比較して10倍以上となっています。業績もかなり安定していますので長期投資としておすすめの銘柄です。

ただし、短期では既に株価が上昇してしまった感は否めません。

PBR 1.7倍、PER 21.8倍と高値圏内に近づいていること、業績も数年で急拡大することは見込めませんので、一旦は安くなるまで様子見したほうがいいかもしれません。

再生可能エネルギー銘柄への投資は少額だけが吉

再生可能エネルギー銘柄は大きな今後のテーマ株の1つとなる可能性が高く、株価が急騰する可能性を秘めていますが、一方で時価総額がそれほど大きくなく、絶好の仕手株として狙わてしまう可能性も否定できません。短期投資よりは数年以上の長期保有目的の方がストレスは少ないと思います。

収益性の安定していない企業も多く、最悪のケースとして倒産や上場廃止に追い込まれる可能性も考慮しなければ


紹介した銘柄の中では、PT Kencana Energi Lestari (KEEN)とPertamina Geothermal Energy (PGEO)が最も安定的に見えます。
KEEN、PGEOを中心に下がったら買うくらいの余裕を持って投資するのがよさそうです。