今回は、日本に居住している方がインドネシア株に投資をした際の課税関係の解説です。
※インドネシア居住の方が現地の証券口座を利用して株式取引を行うケースは以下のエントリー参照
【たった2パターン!】上場株式の売買時の課税ルールをサクッと理解しよう
結論からお伝えすると・・・
日本居住者がインドネシア株へ投資するのは税制上不利です!
ポイントは以下3点です。
Point 1.日本の証券会社の売買手数料が高額
Point 2.株式売却時に二重課税が発生
Point 3.配当金の受取り時も二重課税が発生
インドネシアでの株式投資を行う際には、これらのデメリットを上回る十分な収益が見込まれるかどうか、慎重な検討が必要です。
それでも、日本からインドネシアへ投資を行いたい方は、後述のNISA(少額投資非課税制度)を最大限利用して投資しましょう。
日本からインドネシア株へ投資した際のデメリット3点
Point1. 証券会社の売買手数料が高額
インドネシア居住者の場合、現地証券会社で口座を開設して株式投資を行いますが、インドネシアの各証券会社の手数料は通常は往復で0.5%程度です。
一方で、日本の居住者はインドネシアにある現地証券口座の開設ができませんので、日本の証券会社⇒インドネシアの証券会社と株式注文を流します。
この結果、株式売買時の仲介者が2社となり、売買手数料もその分高くなってしまいます。
インドネシア株式の取り扱いのある日本の大手証券会社を調べてみたところ往復2.0%~4.0%程度の手数料設定が主流となっており、これはインドネシア居住者と比較して実に4倍以上の手数料を支払う計算です。
Point 2. 株式売却時に二重課税が発生
株式投資においてコストの中心となるのは株式売買に対する所得税課税です。
インドネシア側の上場株式の譲渡に対する課税はシンプル&低率の設定で
株式売却額 × 0.1%
たったこれだけの税金の支払いだけで課税関係が完了します。
※詳細は【たった2パターン!】上場株式の売買時の課税ルールをサクッと理解しよう
問題は、日本からインドネシアの株式投資を行う場合には、
インドネシア側で課税される売却税に加えて
日本側でも譲渡所得として、追加で20.315%の課税が発生します。
このように日本からの投資を行うと、
日本・インドネシア両国で課税が発生する二重課税問題が発生します。
それでも投資を行いたい場合には、NISA(少額投資非課税制度)の枠を利用することで日本側での譲渡所得課税20.315%の負担を軽減することを検討しましょう。
Point 3. 配当金の受取時も二重課税が発生
配当の受取者がインドネシアに居住する個人株主の場合、3年間インドネシア国内で再投資をすることが条件とされていますが、国内配当金に対して課税はありません。
悲惨なのは、日本居住者が配当を受け取るケースです。
インドネシア居住者の場合は非課税となっていますが、国外居住者への配当については20%の源泉税(PPH26)がインドネシア側でまず控除されます。
そして、日本側で配当金受取時に、さらに20.315%の源泉徴収が追加で実施されます。
個人の口座へ入金される受取配当金額は配当総額のたった64% となります。
それでも日本から投資するなら、NISA枠を利用!
日本居住者の方にとって、インドネシアへの株式投資は証券会社への手数料、課税の面でデメリットが大きく正直おすすめできません。
もし、どうしてもインドネシアへの株式投資を行う場合には、日本のNISA口座を利用して二重課税のデメリットを解消することを検討してください。
証券会社によってはNISAを利用した海外株式投資も可能となっています
NISA口座(成長投資株)を通じた海外株式へ投資する場合には、各年240万円分という制限はあるものの株式から発生する譲渡所得や配当所得への日本側での課税が非課税となるのでインドネシアへの株式投資時にこれを利用しない手はありません。
日本からインドネシアへの株式投資を考えている方にとっては、夢を壊すような辛辣な内容だったかもしれません。
インドネシア株式投資についてあふれている情報は、どれもインドネシアの株式市場の有望さや高配当銘柄等のメリット面ばかりが紹介されているようです。
しかし、実際に投資する際には課税関係や手数料負担のデメリットも十分理解したうえで投資することが重要です。
【注意情報】
数十万円の手数料と引き換えに、日本居住者でもインドネシアの証券口座を開設可能といった類の怪しい情報が流れてくることがあります。
調べれば簡単にわかることですが、有効な滞在ビザなしに証券口座開設はできません。個人的なツテや賄賂で口座開設はできるケースがまだまだインドネシアではあり得ますが、急に証券口座が止められ資金の引き出しができないといったリスクや、逮捕のリスクも考えれば、絶対に手を出すべきでありませんので注意してください。
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