【毎年2桁成長中】インドネシアの航空業界をざっくり解説

出張や観光目的でジャカルタを訪れたことがあるなら

ジャカルタの空港ってイメージしてたより広くて活気がある!

そんな感想を持つ方も多いのではないでしょうか。

第3ターミナルは特に巨大で、搭乗口まで20分歩くことも….。

 

正直に言って、各ターミナルの設備面は全然すごくないです (笑)

 

しかしジャカルタのメイン空港であるスカルノ・ハッタ国際空港は

現在3つの旅客ターミナルを持つ国際空港であり利用者はかなり多いです

さらに将来的にキャパシティが不足するという予測から、第4ターミナル建設も進んでいます。

 

近年のインドネシア人の所得水準上昇格安航空会社LCCの台頭が相まって、

現地ミドルクラス層を中心に、飛行機移動の需要はどんどん高まっています。

 

地方都市を含めた空港開港・拡張は国の政策として推進中!

 

そんな状況を考えるとインドネシアの航空業界がこれから急成長を遂げることは間違いないでしょう。

今回は、そんな魅力的なインドネシアの航空業界の分析です。

なお、航空業界の個別銘柄分析はこちら

インドネシアの航空業界の概要

インドネシアは2万以上の島を有し、広大な国土を有しているにも関わらず、

これまで庶民の長距離移動手段は、鉄道やバス、車が中心でした。

しかし、ジョコ・ウィドド大統領の肝いり政策としてインドネシアでは都市部を中心に、

高速道路やMRT、空港鉄道などの輸送インフラの開発が急ピッチで進められています。

旅客者数は大きく増加予測


IATA(国際航空運送協会)によれば今後20年間で予想される旅客者数の

増加予測トップ5は以下の国々となっています。

1位:中国(+9億2100万人増、合計15億人)
2位:米国(+4億100万人増、合計11億人)
3位:インド(+3億3700万人増、合計4億7800万人)
4位:インドネシア(+2億3500万人増、合計3億5500万人)
5位:トルコ(+1億1900万人増、合計1億9600万人)


インドネシアは堂々世界第4位にランキングされています。

2018年度は燃料価格の高止まりにより、航空券販売価格が高騰した状況でしたが

2018年 1億4,200万人 前年比 +10.9%

2019年(予想) 1億6,200万人 前年比 +14.0%

と推移しており、旅客者数は特にンドネシア国内線旅客者を中心にハイペースで伸びています。

【成長を阻む2つの要因】航空業界の成長は原油価格と政府動向次第


一方で、航空業界の発展を阻害する要因もいくつかあります。

例えば、一般的に航空会社の原価のうち20%程度は燃料費ですので、

この原油価格の高騰は、各企業の利益に大きな影響を与えることとなります。

2018年度以降、世界的好景気により燃油価額は高止まりしており、

航空会社各社の業績は現在厳しい状況が続いています。

管理人
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ガルーダ航空も2018年度決算は赤字決算に陥りました。


また、燃料価額高騰をカバーするため、各社国内線航空券の価格を値上げしたところ

市民からの不満が高まり、この航空券高騰に歯止めをかけるべく運輸省が

2019年度より国内線航空券の販売価格の上限を法令で制限し始めています。

当時の記事はこちら参照


管理人
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値段設定にまで政府が口出し始めると、各航空会社は利益出せないよ!


航空業界の市場は拡大見込みなのに、航空会社各社の業績は低迷しているという

不健全なバランスをどう解消していくかが今後の重要なテーマです。

【航空会社別シェア】ガルーダ航空とライオンエアの寡占状態

このように旅客者数が大きく進展していく中、業績を伸ばしている航空会社はどこでしょう。

まずは、現在の航空会社別シェア割合を調べてみました。


インドネシアの国内便のマーケットシェア率は

ここ10年でほとんど変動はなく、ライオンエアとガルーダ航空の2強状態が続いています。

それぞれのグループの特徴を以下まとめています。

【ライオンエア】LCC航空会社の先駆者!しかし評判は…


ライオンエア(Lion air)は1999年創業のインドネシア発の民間空港会社です。

航空業界の規制緩和直後から、格安航空会社としてトップシェアを誇っています

また、傘下にウイングスエアー、バティックエアーを収めており、

インドネシアでのシェア占有率はグループ全体で50%超となっています。

また、インドネシアだけでなく、タイ・ライオンエア(タイ)、マンダリン航空(マレーシア)

などの複数の航空会社をもつ東南アジアを代表するLCC航空会社へ成長しました。

ライオンエアの魅力はどの航空会社よりも数割安い圧倒的な価格競争力に加え、

多くの路線で早朝から深夜まで飛ばしていることによる利便性の高さです。

しかしながら、インドネシア国内での評判は正直いまいちです…


原因は、オーバーランや胴体着陸等の事件が度々発生していることに加え、

2018年10月に乗客全員が死亡する墜落事故を起こしてしまいました。

この事件は日本でも大きく報道されたのでご存知の方も多いかと思います。
当時の記事はこちら

この事件をきっかけにインドネシア国内でも一気に安全性への懸念が広がりました。


個人的は、この墜落事故はライオンエアの責任なのかボーイング社の責任なのか

未だにはっきりしない部分もあり、ライオンエアが本当に安全性に問題があるかは疑問です。

また、多数の路線を運航している航空会社ですので、事故発生率等の指標で考えれば

そこまで危険な航空会社ではないのかもしれません。



しかし、インドネシア人に今度ライオンエア乗って旅行するよ!なんて話をすれば

・運航遅延が多すぎるからスケジュールに余裕持って行動した方がいいよ

・遅延どころか直前になってフライト中止になった経験あるから注意!

・事故怖いから極力乗らない方がいいよ

といった様なネガティブな返答が返って来ます。

インドネシア人の評価としては安かろう悪かろう(危なかろう?)の様ですので、

今後もこのような口コミ評価を挽回できなければ成長は難しいのかもしれません。

管理人
管理人
しかし、そんなに評判悪くてもシェアトップなのは、それだけ値段が魅力的なんですよね


なお、残念ながらインドネシアでは株式上場しておらず、株式投資対象とはなりません。

しかし、この記事の執筆時現在(2019年3月)、いくつかの新聞記事では

ライオンエアが近々POする予定という憶測が出ています。

もし、本当に上場すれば2019年度最大の新規上場となるでしょうし、

既に状況済みの航空会社各社の株価にも影響が出る可能性がありですので注視が必要です。

管理人
管理人
もし上場したときには、まとめ記事を書きますのでお楽しみに!


【ガルーダ航空】高いけど、やっぱり一番信頼できるナショナルフラッグ


ガルーダ航空はインドネシアのナショナルフラッグとしての歴史を持ち、

インドネシアで唯一のフルサービスキャリアとしてファイブスター評価を取得しています。

管理人
管理人
ビジネスマンやお金持ちはガルーダ一択!


しかし、LCC各社の格安価格の前には価格競争力で負けてしまうことから

ガルーダ航空自体のシェア率は年を追うごとに減少傾向となっています。


そこで、ガルーダ航空はグループ子会社としてLCC航空会社のシティリンクを設立し、

航空券価格に敏感な顧客層を積極的に取り込んでいる印象です。

シティリンクはLCCに分類されることが多いですが、実際のサービス内容は

LCCとフルサービスキャリアの中間レベルで、フォースター評価を取得しています。

管理人
管理人
値段もサービスもそこそこ良いという印象があります。


ライオンエアなどが得意とする最安価格帯より少し上の顧客層をメイン顧客とすることで

ガルーダグループ全体では中価格帯以上の顧客に特化して他社と差別化している印象です。

なお、ガルーダ航空はインドネシア市場に上場済みで、詳細は次回の記事参照

【巻き返しなるか】シェア率3位以下の航空会社


圧倒的マーケットシェアのライオンエアとガルーダに大差をつけられてしまっていますが、

マーケットシェア3位以下の航空会社もご紹介します。


まず、3位は13%のシェアを有するスリウィジャヤ航空グループです。

スリウィジャヤ航空はインドネシア資本(非上場)であり、それなりの知名度があります。

特に主要都市への路線、いわゆるドル箱路線を複数持っていますが、

一日の発着数は少なく使いづらい印象です。一方で安全性は比較的高い航空会社と

認知されており、評判は悪くありません。

またナムエアーはスリウィジャヤ航空の子会社です。

地方路線に特化していることから、存在感はやや薄めです。

私も一度乗りましたが、正直これといった特徴のない一般的なLCCといった印象です。


なお、スリウィジャヤ航空は2018年度よりガルーダ航空とコードシェアを含む

業務提携を開始しています。

しかし、この業務提携はスリウィジャヤ航空の財政状態がかなり悪化しているため、

将来的にガルーダ航空から資本提携(買収含む)を受けるための布石と言われています。

4位にランクインしたのはエアアジア・インドネシアです。

親会社はマレーシアのエアアジアですが、インドネシアで株式上場もしています。

エアアジアといえば、今や世界を代表するLCC企業として有名ですが、

エアアジア・インドネシアが保有する航空路線・保有機材ともにまだまだ限定的です。

LCCが本来得意とするビジネス効率を圧倒的に高めるための離発着の実現ができないため、

売上規模がかなり小さく最終決算数値は毎年赤字となっており、

2018年にはついに債務超過の状況に陥っています。

親会社が大企業ですので倒産リスクは低いと思いますが、ターゲットとする顧客層は

ライオンエアと競合しており、今後インドネシア市場でシェアを伸ばせるかは疑問です。

【投資先候補】航空業界投資選択肢はたった2つ


インドネシアにはこのように、多数の航空会社グループが存在しますが、

現在上場している企業はガルーダ航空とエアアジア・インドネシアだけです。

管理人
管理人

投資家目線だと選択肢が少ないのがさみしい限りです


次回の記事ではこれらの上場会社2社が投資適格銘柄か分析しています。