【個別株】PT Aneka Tambang Tbk (ANTM)

会社概要

国営鉱業・非鉄金属会社で、一般的にはアンタム(ANTAM)と呼ばれています。
金・銀・ニッケルといった貴金属の鉱山開発がメイン事業となっています。

株主構成は政府持ち分65%と、インドネシア政府の政策に大きく左右される銘柄であることに注意が必要です。

注目されるレアメタル ニッケルとは?

元々、インドネシアは石油等の資源国で過去にはOPEC加盟国でしたが、
ここ15年程は産出量が需要を上回り石油輸入国に転落、
その他の金や石炭等といった資源も産出量が多くなく産業の中心にはなってきませんでした。

そんな中、私が注目しているのはニッケルです。
ニッケルはいわゆるレアメタルで産出国は、フィリピンとインドネシアが産出国の世界2トップとなっており、このうち、インドネシアでのニッケル最大手がこのアンタム社です。

これまではステンレスの材料としての需要がメインでしたが、
昨今は電気自動車(EV)リチウム電池の材料としても需要が伸びています。

ニッケルについてはこちらの記事がわかりやすいので貼っておきます。
JOGMEC – ニッケル需給・市場動向
JOGMEC – インドネシア鉱業のトピックス (銅・ニッケル)

業績展望

インドネシア政府は、外貨獲得の重要な産業と認識しています。
利潤の低い単純な資源の輸出ではなく、国内で加工した製品輸出推奨のため
数年前まで政府が未加工ニッケルの禁輸措置をとっていました。

しかし、この結果2014年度より同社の売上は急落下、
株価は現水準の1/3程度の低水準で推移していた厳しい時期がありました。
国営企業への株式投資はこのようなカントリーリスクを含むことが多いので注意しなければなりません。

なおその後、ニッケル輸出は順次緩和されており、
日系を含む外資系企業とのニッケル加工事業も進んでいます。

インドネシア政府としても自動車産業の発展に向けて、
電気自動車(EV)のぜいたく税の50%減額など具体的な政府の政策も報道されています。
最大の需要国であり輸出先である中国を筆頭に、
日本でも電気自動車の開発・普及が急速に進んでいますね。
個人的には、ガソリン車から電気自動車への移行は想定以上に速いスピードで進んでいくものと想定しています。

リチウム電池製造の需要に後押しされ、ニッケル需要は今後5~10年で徐々に高まると一方、在庫量が少なく供給が逼迫するという予測もあり、
ニッケル市場価格も改善するものと思われます。

財務分析

セグメント別情報としては、

・金をメインとした貴金属
・ニッケル

という製品区分別のセグメントが組まれています。

貴金属セグメントは売上高こそ大きいものの利益率は今一つです。
操業度にもよりますが、粗利5%程度しか取れません。
反対に、ニッケルの生産量と市況価格によって大きく上振れする可能性があります。
元々20%強の粗利が取れるセグメントであり、
2018年3Qデータでは粗利30%近く取れています。

2018年度のニッケルの市場価格のチャートは伸び悩んでいました。
特にメインの輸出先である中国の世界経済の先行き不透明を反映して、在庫も縮小傾向でしたが、2018年年度末頃から反発していますので、底を打ったのかなと思っています。

2018年3Qレポートみても、ニッケルの生産量は前期比で倍程に増えており業績回復は間違いないでしょう。
アンタム2018年3Qレポート

それから、今後の配当性向の設定にも注目しています。
ここ数年は業績不振のため配当の実施を見送っていましたが、
定期預金でさえ6%程度利息の付く国ですか、
それなりに配当性向を高めないと株価は上向かないことが多いです。
経営陣のコミットメントとして配当性向30%を掲げていますが、
2014年以前は15%~25%程の配当性向となっていました。
2018年度より、最低でもこの程度の配当政策を実施してほしいなと思います。

投資戦略

2018年中旬から投資を買い増しを進めていたので、
平均取得単価 IDR 774で現状は含み益ポジション
目先のレジスタンスラインは IDR 950、上抜けしなければ一旦利益確定。